その店に初めて行ったのはいつだったか・・・・・・。
多分、今年に入ってからだと思う。
お気に入りの文房具探しと、ギターを見ようと、その街に足を踏み入れた時のことであった。
若者たちでごった返していて普段なら通らない通りなのだが、近道ということもあってそこを通りかかった時、妙に気になるランチメニューの看板が目に留まった。
見ると古い雑居ビルの四階。
そのまま通り過ぎ、文房具・ギターなどを物色したのだが、なぜかあの看板のことが頭から離れず、帰りに立ち寄ってみた。
小さなエレベーターに揺られながら、ここ大丈夫かななどと少々不安を覚えたのだが、店内に入り席についてから何とも言えない不思議な感覚を覚えた。
何か・・・・いい感じ・・・・。
単に居心地が良いというのでもない。
うまく表現出来ないのだが・・・・あえて言うなら、懐かしい居場所という感じであった。
その日は普通にランチを食し、帰ってきたのだが、あれ以来その街に行った時にはその店でランチと決めている。
ある時、この店のことを某氏に話したところ、もしやと言って彼は何やらネットで検索をし始めた。
ああ、やっぱり・・・・・とつぶやき、彼は話し始めた。
彼の説明によると、その店の創業者は大変苦労して一代でその店を築き上げ、全国にチェーン展開した後、今はその店を手放し、別の仕事をしているという。
その仕事とは・・・・・人の心に関するもの・・・・・・。
嘘をつく自分、ハッタリをかます自分、笑ったり怒ったりする自分、真面目に働く自分・・・・・自分って色々な側面があるように思えるが、ある時その人は、これは本当の自分ではない、本当の自分が何処かにあるはずと心の世界に興味を持つようになった・・・・・・という。
そして・・・・・、何かを見つけた。
これ以上詳しいことはわからないが、本当の自分を見つけることや心の探求を真摯に行っていた彼の思いが僕の心の何処かと共振し・・・・・何の変哲もない看板に僕が反応し・・・・僕のいい感じの居場所まで導いたのではないか・・・・・。
類は友を呼ぶではないが、少々不思議な出会いであった・・・・・。
さて、ギターでも弾くか・・・・・・。